JAREC Presents How to REC Seminar第一回

『レコーディング未来への提唱』
~JAREC Presents How to REC Seminar第一回~
日本ミキサー協会では、会員の皆さんより最近の録音事情について色々な意見を頂いてきました。
それらを踏まえ、これからエンジニアを目指す方、また個人としてエンジニアの活動をしている方などに、当協会の活動やプロのエンジニアの考えを、広く知って頂く為のセミナーを開きました。講師には、正会員のGoh Hotoda氏、森元浩二氏、吉田保氏にお願いし、ボーカル録音のデモを通して歌録りのテクニックや音への考え方を、吉田氏の司会で、三名のパネルデョスカッション形式で行いました。参加者は、ロックオンプロのWEBにて募り、会場及び機材も同社に提供して頂きました。
夏の暑い一日、15時と17時半の2回のセミナーには、計25名の受講者が集まり、ボーカル録音のデモには、ESP学園の紹介でボーカリストの信岡愛さんに協力頂き、大変素晴らしい盛り上がりと内容のセミナーになりました。お忙しい中ご協力頂きました講師の方々、及び、ロックオンプロ、ESP、各位に感謝いたします。この模様を、1回目のセミナーを中心にリポートしましたので、長文ですが覗いて下さい。
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日 時: 2010年7月28日(水) 1回目15:00~、2回目17:30~
場 所: ロックオンプロデモルーム
参加者数: 25名
司 会: 吉田 保 氏
講 師: Goh Hotoda氏、森元浩二氏、吉田保氏
ボーカル協力: 信岡愛さん
協 力 : 株式会社メディアインテグレーション、学校法人イーエスピー学園
Goh Hotoda氏 森元 浩二氏 吉田 保氏
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― I N D E X ―
【今日の機材】 【コンプ 1176 AE】
【HA,ゲイン】 【コンプ RATIO】
【コンプ・レベル】 【バジェットスタジオ】
【EQ,ローカット】 【最近の元音】
【ローカットは、何Hz】 【困ったセットVo録音】
【Gohさん、ボーカルセット】 【録音されていた現実】
【NEVEのインサート】 【マイクに声を載せる】
【ボーカリストのレベル設定】 【創る、録音】
【NOKKOさんのセット】 【求む!これが良い!判断】
【ヘッドフォンの返し】 【歌手とエンジニアのコラボ録音】
【標準セットVo録音】 【進化した歌入れ】
【Voの録音レベル】 【NOKKOさんのセットⅡ】
【24bitの実力は、小さい音】 【マイクとの距離】
【24bitの考え方使い方】 【音とコミュニケーション】
【歌のピークレベル】 【やり過ぎた時の補正】
【森元さん、歌セットテクニック】 【良い考えを貫く】
【歌録り、遅延対策】 【ちょっと困り者】
【NOKKOさんのモニター】 【音と音楽への信念】
【コンディション】 【もうひとつのプラグイン】
【コンプ、アタックとリリース】 【遅延補正】
― Q & A ―
【ヘッドフォンの返しpartⅡ】 【録ってる間フェーダーを触ってるんですか。】
【ヘッドフォンの返し単独】 【僕は、モニター動かしてるんですけど。】
【ヘッドフォンの返し遅延】 【歌、録音の一番大事にしてるところ】
【16bitと24bitそれぞれの1bitは違うの? 【プレイバックする時に歌をちょっと下げて】
【デジタル、ハイサンプルの解像度】 【コンプのリリースタイム】
【デジタルの屁理屈とダイナミックス】 【言葉っていうのは大事】
【Comp→EQ と EQ→Comp】 【音楽の未来】
【だから、レベルは大事】 【音楽業界の今後】
【歌のEQは、何時決めて何時入れるの】 【凄く良い音楽を作ってほしい】
【歌のダイナミックスとオケのダイナミックス】 【最後に】

 

【挨拶】
岡田氏:(ROCKON PRO)

本日はお暑い中『JAREC Presents How to REC Seminar』に参加頂きまして皆さんありがとうございます。セミナーの内容は、エンジニアという職の未来と言う部分、もちろん過去もあり経験も、歴史があって今のエンジニアの皆さんの培ってきたノウハウがあります。そこを上手く皆さんの未来と融合して良い音楽を作って欲しいなって思っています。こういう場を設けることによって、上手く皆が繋がっていければ良いなと言う事で、今回の企画に成りました。一応、第1回と銘打っておりますので、今回が上手くいけば、なんとか繋げていきたいなと、僕達は思ってます。特にもう皆さん説明不要なエンジニアの方が三人こちらにいらっしゃってます。このお三方が揃うことは正直ないと思います。例えばスタジオにアシスタントで入ったとしても、この三名がいらっしゃる事はまず有りません。三人三様の色々なティップスであるとか、皆さんが感じられている理想であるとか、今あるエンジニアリングにおける問題点であるとか、色々なお話が今日あると思っています。あと、ボーカリストがスタンバっておりますのでご紹介いたします。本日のVocalist信岡愛さんです。プロフィールが書いてある紙がありますので、是非ご覧頂きたいと思います。信岡さん、何か宣伝ありますか?
(以下、初回を除き敬称を省略させて頂きます。)
信岡: 信岡愛と申します。宜しくお願いします。AI-CREWSというバンドをやっています。ソロでは、パチンコ「花の慶次・愛」の曲をやってます。パチンコ好きな方は、やってみて下さい。当たると私の声が聞けます。ちゃっかりちょっとプロフィールとご一緒に見てみて下さい。
吉田: じゃ、パチンコ屋さんで当たると信岡さんの歌が・・。
その度に歌唱印税入ってくる。
信岡: いやいや。全然全然。 一同(笑)
岡田: と言う事で、今日はご協力頂きます。
信岡: 頑張ります。宜しくお願いします。 (拍手)
岡田: では、ミキサー協会の梅津さんへ、この後のバトンタッチしますので宜しくお願いします。
梅津: 日本ミキサー協会というのは、フリーのエンジニアの集まりで、設立して10年に成ります。10年前、DAWでミックスするという事は、まだ主流ではなくアナログ卓でのミックスが主流でした。そこで、会員(プロ)のエンジニアを対象とした勉強会をその時々で行ってきました。しかし、これからは、録音ミックスが個人で行われるという事を考えますと、私達が学んで来た事、経験してきた事をこれからの人達に上手く伝えていかなくては。と、考えました。今回ロックオンプロ様にご協力頂き、初めて一般の方を対象にしたセミナーを開く事にやっと漕ぎ着けました。講師のお三方も大変な経験と経歴を持っておられ、多くの作品を録音しております。プロがどういった考えで音楽を作り、また録音しているかと言う事の、一端でも共感習得して頂ければと思います。挨拶は短くて本編は長い方が良いと思いますので、早速お三方にお願いしたいと思います。宜しくお願い致します。
三人: 宜しくお願いします。
【初めに】
吉田さん: 皆さん今日は。今日は司会進行も兼ね講師をやります、吉田でございます。今日の進行としましては、プロの標準的なボーカルの録り方をまず第一にやらせていただきます。森元さんに今日、浜崎あゆみさんのカラオケにすごーく近いカラオケを作って持ってきて頂きました。そういうオケを使いまして、皆さんの為に、今日は、豪華なセミナーをちょっとやってみたいと思っております。一番初めに、我々が普段行っているようなレコーディングの方法ですね。スタジオで録っている方法。宅録でも当てはまるんですけども、そういう標準的な、例えばマイクからどういう風に来て、どういう風に流れて、どういう風にツールスに入るのかっていう標準的な方法で録ってみたいと思います。
【今日の機材】
吉田: 森元さんじゃあ、標準的な方法としてマイクからどのようにきているかを説明して頂けますか?
Neumann 87Ai 上からUniversalAudio1176LN
(ProceedPowerPZ-10)
AvalonVT-737 MillenniaSTT-1
森元さん: 今マイクが、ブースにノイマン(Neumann)の87Aiという、標準的なコンデンサーマイクが立っております。それをこのミレニア(MillenniaSTT-1“Origin”)というヘッドアンプ、マイクプリですけども、HAともいわれます。それで受けてそこで基本的に+4と言うんですけど、ラインレベルまで上げてしまいます。で、その後コンプレッサーUniversalAudio1176LNを通して、イコライザーAvalon VT-737で多少補正する場合があるんで、それを入れてプロツールスに入れてあります。因みにレベル的には、このHAで僕は欲しいラインレベルまで上げてしまいます。
【HA・ゲイン】
Gohさん: 例えばゲインはどの位にされてるんですか?
森元: これは今ですね、87なんで30とか35dB位上げてます。
吉田: 因みに今話された方がGoh Hotodaさんでございます。紹介が遅れました。
森元: でその、HAのゲインっていうのは、それぞれあるんでマイクによって変わります。
Goh: マイク出力のレベルがね、違いますもんね。
Millennia STT-1“Origin”
森元: まあ慣れてくると大体のレベルは判ってきて、予想がつくんで、この位かなっていう所から始めます。で、今76っていう標準的なコンプなんですけども、ラインレベル+4dB=0VUっていうのを入れて、0VUそのまま出て来る位のレベル設定にしてあります。ただ、人によってはHAだけで、レベル上げるのが嫌だから、ちょっと下げ目にしておいて、76のインプットで上げる人もいます。
Goh: ヘッドアンプで歪んでしまう場合もあるんで、HAのゲインはある程度下げたりとかその辺の駆け引き、HAとコンプも含めたレベルのバランスの中でね。
【コンプ・レベル】
森元: 歌い手さんによってですね。まあ普通の人はこんなツマミの位置INが10時半OUTが2時位で。この76は、リミッターが掛かるポイントを変える、スレッショルドのツマミが無い機械なんで、インプットとアウトプットのレベルで、コンプの掛かりを調整しながらやっていくんですけども、まずは標準的な位置にしてそこから始めます。
UniversalAudio1176LN
【EQ・ローカット】
森元: で、イコライザーは、僕は、大体コンプの後に入れるんですが、ただ歌録りの時はあまりEQはしないんですよ。フィルターを入れて、低域カットだけにしてます。その点、保さんはどうされるんですか?
Avalon VT-737
吉田: なるべく後で面倒くさくない様に、録る時からEQコンプ掛けて録っちゃって、なるべくミックスの時は楽な思いをしようと言う事で、その場で決め打ちですね。まあ、多少直しますけども。今、森元さんが話してくれました標準的なコンプのEQの入れ方っていうのは、こういう場合のひとつの難点と言えますが、コンプをかけるとそのままノイズレベルも上がった状態でEQに入っていく訳ですね。ですから、そういう部分では、必ずフィルターを入れて低域をカットしてあげるって事が、後々色んな混変調歪みとかそういうのが、軽減されるという事がある。頭を押さえるって事が、逆にいうとノイズレベルを上げて録音してるっていう状態になりますからね。
Goh: 小さい音も大きくなる感じですよね。
吉田: そういう事ですよね。ですから、特に下の「ゴー」っていう空調の音とかが後で、他の楽器との干渉でその「ドーン」とした音になったりする。そのクリアさが無くなっちゃう事があるんで、低域フィルターを入れる。ローカットをするって言う事が一つ必要かもしれないですね。
【ローカットは、何Hz】
森元: 因みに、講師の僕が、質問するのも何なんですけど、どの位下を切られるんですか?
吉田: 結構切っちゃいますね。フィルターだったら30Hzとか20Hz位で、時には12dB位、切っちゃう時がありますね。
Goh: 家なんかだと、やっぱり自宅でやってるんで、45Hz位で切っちゃいますね。写真が見れると判るんですけど。EQするのって結構大事なんですよね。モニターのバランスっていうのも、もちろん関係してくるからやっぱり。
NEVE 33115
【Gohさん、ボーカルセット】
Goh: ボーカルセット(写真)っていうのを。家の場合は、こういうNEVEのマイクプリを使っていて。
吉田: 型番なんでしたっけ?
Goh: 1073の手配線じゃない方、33115で。僕の場合は、普通NEVEはアンバランスなんですけど、僕のは改造してあってバランスで取れる様になっていて、これ(今回のセット)と全く同じ様に、マイクプリの所からインサートっていうのが在って、上のコンプレッサーに行く様になってるんですよね。で、一番最後にツマミがあって。EQを通った後カットするようにして、上のチャンネルのEQ 47Hz位に入ってますね。自宅だと、回りこむ音が結構大きかったりするから。スタジオはね、やっぱりある程度遮音とか、防音が第一だけど・・・。
吉田: これって、オクターブは何デシ位でしたっけ?6dBくらいでしたっけ。結構、緩いんですね。
Goh: で、そういう風にして、EQかけて、一番最後この丸いツマミが、いわゆるマスターフェーダーみたいな。最後にプロツールスに行くレベルにしてるんですよ。
Gohさん、ボーカルセット
【NEVEのインサート】
吉田: あの、今話してる事、皆さんお分かりになりますよね?例えばレベルの問題、そのNEVEのインサートのレベルって、-14dBでしたっけ?
Goh: そうです。
吉田: 低いですよね。一度0から-14dBに下げて、インサートポジションに出して、そのあとにまた0に戻すという作業をやってる。そこがNEVEの大きなミソになっているみたいですね。
Goh: トランスを通して出して、又トランスを通って返してる。
吉田: そうするとNEVEの音がするみたいな感じですね。
【ボーカリストのレベル設定】
Goh: やっぱりその、印が付いてるんですけども、これは家の、NOKKOの歌を録る時とかの大体のセットでこういう風にこう。(76のセットを指差し)大体同じですよね。
吉田: 良いですよね。これだけ家に有ると。
Goh: まあ、健康的なレベルというか、これが。
吉田: そうですね。本当の健康レベルですね。ま、大体プロの歌手の方が歌うと、同じ様なセッティングになります。レベル関係とかほとんど同じですよね。ま、山下達郎とかは結構声が大きいんで、若干あと5dB位絞る可能性はありますけども。大体同じ位です。
森元: 達郎さんマイク何ですか?67?
吉田: 67ですね。ほとんど。67のマイクっていうのは、カラーが殆ど無いマイクで、非常に素直なマイクです。逆に言うと、ま、元の声だね、達郎の場合結構良いですので、あんまりEQはしないですけど、色々な後の都合で、少しはEQして録ってますけども、NOKKOさんは如何ですか?
【NOKKOさんのセット】
Goh: 87ですね。それも古い、所謂レベッカの頃から使ってた古い「i」です。それがね、NEVEのヘッドアンプにちょうどぴったりなんですね。やっぱり!
吉田: 87iは、今のAiに比べるとゲイン高い?低い?あ、10dB位低いんですか。
Goh: 今のAiだと、声大きい人だとマイクで歪んじゃったりしますね。
吉田: あ、マイクで歪みますか。HAじゃなくて。
Goh: あと、そのコンプを掛けながら歌うのが本人の昔からのスタイルなんで、調子が上がらないとコンプが掛からないんですよ。小さい、声が出てないっていうか、メーターが上がらないみたいな。だから、そのセットは変えないで、そのコンプが掛かるまでは、練習して、それから歌うっていう感じで。
森元: もう決まってる訳ですね(笑)
吉田: まあそうですね。歌手の方は、その前に発声練習をしてるけども何回か歌わないと本来の声が出て来ないっていうのがありますからね。
【ヘッドフォンの返し】
吉田: ヘッドフォンの声、ホールドバックをどれだけ返してあげるかっていうのは結構難しいですよね。声の状態をいつもヘッドフォンで聴くから、こっちがホールドバックで上げすぎちゃうと声が出てるんじゃないかと歌手が勘違いする場合もあるから。
Goh: モニターのバランスですかね。送り返すボリュームとね。
吉田: そういう色々な条件で、送り返し過ぎるとピッチを高く取ったり、音程が合わせ難くなる。オケと中とのピッチ感が無くなっちゃう事もあります。だから、ボーカルを録る上でモニターバランスをちゃんと作ってあげないと、歌手の方にも影響していく。そういう部分で、モニターバランスっていうのは非常に重要な一つ。
【標準セットVo録音】
吉田: じゃあここで、標準的な方法で一度、信岡さんに歌ってもらって、家でも録れる、ロックオンのデモルームでも録れる録り方で、やってみましょう。
森元: このままのセットでいいですよね。
Goh: これはまあ、一番正しいRecのやり方なんで。
吉田: そうですね。ま、これが標準です。
森元: そこから、色々変えて。「もしもーし」(信岡さんに)
信岡: 「はーい。」
Goh: 「じゃ、ちょっと1回やってみようかと思うんですが、よろしいですか?」
信岡: 「はい。」
森元: 「じゃあ、頭から出しまーす。」
信岡: 「お願いします。」
~ ♪♪♪ 標準セットで『no way to say』1コーラスを録音 ♪♪♪ ~
森元: 「はい、ちょっと待ってください。」
【Voの録音レベル】
吉田: 今が、標準的な録り方ですね。レベルもピークでちょうど-10dB位ですか?
森元: そうですね。もうちょっといってるかもしれないですね。
吉田: ツールスの場合、別に24bit、フルビット使うことは今ないと思います。というのは、どうせ後でプラグイン入れたり、EQを入れたりすると、結果的にレベルが大きく大きくなっちゃうんですね。-10dBから-15dB位で録っておくというのが、適当なんじゃないかなと思います。
【24bitの実力は、小さい音】
Goh: そうですね。24bit有っても16有る上に8が有るんじゃないんですよ。これがね。下に8が有る。これを、皆、結構忘れてるところがあると思うんですけども、ま、24bitが初めて出た時っていうのは、「16有った下の下にまだ8が有りますよ」っていう事で、ちっちゃな音を大きくしてもちゃんと聞こえるという。ところが一般的には24有るんだったら24全部使えば良いじゃないかという風になるんだけれども、一番上というのは、もういっぱいなんですよ。変わらないんですよ16bitでも24bitでも。例えばProToolsでエキスポート(export)して16bitに変換しても、大きな物は何も変わらないんですよね。ところが24bitにすると、下が、「小さな音が聴こえる」っていう、だから上からの1から16まで使うと更に8の余裕が有るっていう事。だから1bitから8bitまでも綺麗に音が聴こえて更に16bitから24bitの部分が大きく出るっていう事。
【24bitの考え方使い】
Goh: そうすると例えば、ミックスでバランスを作ってる時に、もの凄く大きな音と小さな音をですね、コントロール出来たりとかする訳なんで、そんなに沢山のレベルを録ってしまうと、後でというかダイナミックレンジが大き過ぎて、殆どCDかけた時にAメロディは全然小さいんだけど、サビになると全部下げなくちゃいけなかったりっていう、そういう事になってしまうから、かといって「ピター」っと壁のように、羊羹のような「ピター」っていう波形をね、頭潰しちゃって入れちゃうと、24bitあるダイナミックレンジなんて必要ない訳ですよね。8bitでも良い訳だから。なので、レベルはそんなに稼ごうと思わないで、自由度というか、レベルは(音楽の)抑揚を持たせる為に有るふうに思わないと。
吉田: そうですね。だから上に対して8bitよりも16bitのほうが、8bit分多いと言う事ですね。24bitはまたその8bit多いという事。理屈から言ったらもう、16bitあれば充分ですよね。でもそれを24bitで、色んなデジタルが良くなってきてそれだけの解像度が出て、いまや48bitいける。64bitっていうのもあるかもしれませんけどもね。
Goh: その下の8bitが一番聞こえるのは、大きな音ではなくて実は小さな音なんですよ。例えばリバーブが減衰していく時の、段々段々リバーブの音が小さく聴こえて消えて行くっていう音が、24bitでしか聴こえない音なんですよね。小さくなってく時に、音が最後まで聴こえるのが24bit。16bitだと、減衰の幅が段々1、0、2、1、というふうになっていってしまう、凸凹になっていっちゃうから。なので、レベルを大きく録ったからといって、勝った訳ではないという事なんですよね。かと言って小さくすると解像度が低くなっちゃうから、そこのとこは難しいですよね。だから、写真と同じかもしれないです。
吉田: そうですね。だけどそのビット数の事は、中々このメーター上には出ないんで、デジタルメーターで-10dBから-15dB位のピークで録っておけば、まあ余裕が有るような音ってことですよね。結果的に。
【歌のピークレベル】
Goh: どうですか?森元さん。
森元: 僕はもうちょっとレベル入れちゃうかもしれないですね。歌の場合はね。赤が点く2、3dB前かなっていうとこまで。
Goh: それを一番ピークの所にしますよね。
【森元さん、歌セットテクニック】
森元: そうですね。ただ僕は、歌録りのとき実は76は使わないんですよ。このコンプレッサーは、結構音色が付くんですよね。6dB位コンプレッションした時に、「キュッ」っと締まるんです。それが良い場合もあるのですが、後で戻す事が出来ないんで、僕は、録りにはあんまり色付けがないTube-TechCL-1を使います。
吉田: ナチュラルといえばナチュラルですね。
森元: そうですね。で、話変えてもいいですか?注意点は、モニターの歌のフェーダーなんですけど、基本的に0付近で、メーターは、勿論「赤」なんて点いちゃ「ダメ」ですし、そこそこ振ってる、その状態でバランス取れなかったらオケを下げるという事をして欲しいですね。
吉田: 歌のフェーダーを上げちゃいけないと。
森元: ええ。歌のフェーダーはあくまで基準で、それが標準的なレベルで振っててオケに埋もれちゃうんだったら、それはやっぱりオケのバランスに問題があるんで。オケのバランスをいじったほうが良いかなと思います。あと、CL-1で軽くコンプレッションするんですけど、結局それだけだと歌い手が歌い難いんです。だからモニターにも76を入れるのが、僕の標準のセットです。
【歌録り、遅延対策】
Goh: それとあと、マイクに直接繋がってるんで、デジタルを通ってくるコンプではないんで。マイクからProToolsに入るまでの一本の線になってるじゃないですか。だから、歌えば掛かるし、コンピューターの中で掛かってる訳じゃないので、そこはやっぱり人間としては歌い易いかもしれないです。
森元: それと、僕は、歌録りする時はProToolsモニターはしない時が多いんで、卓使う事が多い。
Goh: アナログのコンソールで。
森元: そうですね。で、オケを立ち上げて、歌が立ち上がって、そこに76入れてモニターする。ProTools内のモニターミックスでのダビングなら、プラグインのBF76を入れてMixの際に掛ける1176をシミュレートして置きます。BF76はレーテンシーも少ないので、歌い手さんのモニターにも影響が少ないです。
【NOKKOさんのモニター】
Goh: そうですね、僕の場合はね、家はこの同じシステムを使っているんで。アナログのコンソールでのモニタリングも、家でやったりするんですけども。大体自分の仕事が多いんで、その歌はこう在るべきだっていう風に最初から決まってるんで、もうこのモニターにはリバーブもディレイもエフェクターも何も無しで!こっちで所謂EQというかコンプで作り込む、そういう風にEQいじったりコンプをいじり始めるのは、これは、音に問題があるんではなくて歌手に問題があるというかコンディションに問題があるから、「今日は止めようとか」ってなるんです。もう決めて想像通りの音が出ない場合は今日はダメだっていう。(笑)
森元: 僕は、もっと商業的かな(笑)
吉田: それは、Gohさんの場合は奥様であるNOKKOさんのレコーディングの時は殆どそういう風な感じになりますよね。
【コンディション】
Goh: あと、ミキシングしててもそうですね。お客さん来てても、上手く纏まらない時は、それはやっぱり聴く方に問題があると思うんですよ。
場内: 聴く方に!(笑)
Goh: 音楽には問題ないんですよ。そこまで来た筈なんだから。今日、上手くいかないのは、皆の耳がおかしいんだ、調子が悪いとか。あとなんかその、もう少し弄りたいっていう気持ちで、注文付けたいっていう、未だ出来上がってないっていうね。
吉田: まあそうですね。商業ベースのスタジオに於ける発言は、ここまでは、ちょっと、中々言えないと思いますが、Gohさんの家であればこそ言える話であって、80%は合ってますね。殆んど。
Goh: でも20%は我慢するしかないですよね(笑)
吉田: まあそういう事なんですよ。一番負担が掛かるのは、その場でやってるエンジニアですよね。そのアーティストの意見を聞かなくちゃいけないし、聞きすぎちゃうとこっちに非常に負担がかかっちゃって。でもそれ以上の事は出来ないけど、まあ何とかしてあげようっていう気持ちも在るけども非常に大変な思いをする。だから、さっき言われた様にその日は、止めちゃうのが本当は一番ですよね。もう今日は酒飲んじゃえって言う様なそういう感じになる。それが、一番ストレスのないレコーディングかもしれないですけども。
【コンプ、アタックとリリース】
森元: 因みに質問していいですか?76のアタック(ATTACK)とリリース(RELEASE)の関係っていつもどうされてます?
吉田: 大体僕はリリースとアタック早めで。
森元: アタックも早めで。
吉田: うん、アタックも早めで。あんまり早くしちゃうと、ちょっと掛かるか掛からないかで「ジリジリ」っていうようなノイズに出る場合がある。要するに歪みですね。76結構多いんですけど、そうすると若干リリースとアタックを落としてあげれば良いんですよね
森元: 例えば早いっていうとどの位ですか?
吉田: もういっぱいにしちゃう。
森元: いっぱいですか!?(驚)。
吉田: まあそれは有り得ないけど。まあ大体。
森元: はあー凄いですね。早いっていうのは、歌い手さんが歌って掛かるまでの時間が早いんですか?
吉田: うん、早い。
森元: だから結構すぐ掛かるっていう事ですか?
吉田: だから歌い手はちょっと気になるかもしれない。意外とね。
森元: あまりに遅いと、逆に今度は声を出した時に掛かり始めるんで、それも気になるとこなんですよ。因みにあれですね、Gohさんの写真見る限りは、スロー・・・使ってる感じですね。
【コンプ 1176 AE】
Goh: あれはね、これ(今回の)とちょっと違うんですよ。AEっていうバージョンで、スローっていうのが在るんです。これはもう所謂オプトのLA2Aとかあの辺のくらいに超スローなんですよ。これATTACKツマミのスイッチ、オフじゃないんですスロースイッチなんですよね。で、2対1なんです。一番下のレシオが。4対1ではなくて。
UniversalAudio1176AE
【コンプ RATIO】
森元: このレシオっていうのは、こうレベル、声がでかくなっていった時にコンプレッションしていく角度ですね。2対1だと2dB上がったときに1dBになる。4対1だと4dBの時に1dBになる。
Goh: どんどんきつくなってく。8とか20とか。
森元: 今は、僕は大体4で録るんですけど。
Goh: これは4までしかないんですよね。
森元: そうですね。最小で4ですね。
吉田: 大体2対1っていうのは、掛かる度合いが高いっていう感じですね。で、クラシックの歌手っていうのは大体レシオをどんどん上げて、まあ16対1とか、ピークで「パー」っといった時に「パッ」っと止めるようなレシオにする場合がありますね。まあ殆んど16対1っていうのは使ったことないけど。
Goh: 歌録る時あんまり使わない。
吉田: 使わないですね。逆にレベルを一定にしちゃうっていう場合ね、1回使った時、「全部これ同じレベルだよ」って怒られたこと、「いや16対1は同じになるんだよ」って。見た目は凄く、「おおーっ!歌全部同じフリしてるよ」みたいな感じでね、楽しかったですけども。まあ、それは兎も角。じゃあ、この次Gohさん、これじゃダメだよみたいな方法で、「どうなるか?」っていうのを、ちょっとやってみましょうよ。
【バジェットスタジオ】
Goh: そう、今、森元さんと保さんがお話してくれたのは、ちゃんとしたレコーディングスタジオが在って、ちゃんとしたモニター環境が在って、ちゃんと論理が分かってるエンジニアの人がこういう状態でこういう風にして、「これが一般的なんですよ」っていう、もっと色々オプションは有るけれども最低限この位のレコーディングのセットアップをして、ボーカルを録るっていう事が一番の基本であり理想なんです。けれども、最近はバジェットが無いからといって、なんかホームブース、ま、これよりも小さな部屋で、例えば、電話ボックスみたいな所で、「そこでしか録音出来ない」って言って、もうProToolsしかなくてスピーカーもこんな立派なものが在る訳でもないしPlug-inも一般的なものがちょこっと置いてあるだけみたいな。で、マイクロフォンが一個あって、例えば僕が使っていたようなNEVEのマイクプリが一個在れば、「それでもう充分でしょ」みたいな、『バジェットスタジオ』っていうのが在って、でもプラグインは揃ってるわけですよ100%。結構多いんですよ。
【最近の元音】
Goh: それで、最近、自分の家のスタジオでミックスを殆どメインに仕事してるんですね。で、インターネット介して、データだけ送ってとか、データハードディスク持ち込んでこれミックスしましょうっていって一緒にミックスするんですけども。昔は、といってもまだ4年目なんですけども。4年前に比べるとどんどん録音されてるクオリティが下がって来てる。4年前はこんな酷いのは無かったなって言う位な事が結構多いんですよ。録音技術とかプラグインの多様化によって、音楽のハートというか、ハートを失ってる。ただ在る機械を、プラグインを並べてみたりとか、プラチナのバンドルが全部に入っていたりとか。WAVESの悪口を言うわけじゃないんですけど。一応僕は預かる時は、必ずチャンネル1個ずつ聞くんですよ。でも「どう考えてもおかしい、なんか変だな」って。で、ちょっとずつ1個ずつ解明するために、プラグイン1個ずつ外しながら、聞いていくと更に酷い訳ですよね。でもこれは、ちゃんとちょっと一緒にやってみた方が良いかもしれないと思って、やってみたんですよね。そしたら、色んな事が段々分かってきたのが、今の時代は、レコード会社の人がノートブックでカチカチやりながらやってる様なディレクターで、バジェットが無いからって、そういう所でガンガン録音し始めちゃう。そうすると、やっぱりエンジニアさん、例えば森元さんとか保さんみたいな方を、そんな所にお連れするのは失礼かもしれないし、そんな予算も無いとか。そうすると、もう駆け出しの若い子達が、やりたいからってやる訳ですよ。歌ってる本人はプラグインの中で歌ってるから気持ち良くっていうか、なんとも思わないかもしれないけども、ホントのニュアンスっていうのは録音されてないんですよ。ここには。聴こえてるだけなんですよね。でも歌があってアナログを通してこうやって録音されてきても、その気持ちの伝え方を知らないんですよ。残念ながらね。今回、僕は、保さんにも、こういう事じゃいけないんじゃないかって、提案しようって言って、始めたのがきっかけなんです。実際はどういう事になるかっていう事をですね、ちょっとね。
【困ったセットVo録音】
吉田: じゃあ、新しいトラック作って何かやってみます?
Goh: (信岡さんへ)「ちょっと待ってね。今度は、違うセットアップでやりますから。」
信岡: 「はい。」
吉田: で、R-Vox(Renaissance Vox)かなんか。モニターに入れてみましょう。
Goh: じゃあ76を、ゲインも無しに。所謂バイパスみたいな感じにしましょうか。
森元: 全てバイパスですか?
Goh: これ、オッケーじゃないですか。きっと。
吉田: これは、代表的な間違った例という。
Goh: これをやるととんでもない事になるっていうのをね。1回ちょっと歌ってもらいましょうか。
森元: ゲインはどうします?
Goh: ゲインは、元のままで良いんじゃないですか?これが適当な振りになるんで。「じゃ、1回今度は全然違うセットアップで最初ちょっと歌い難いかもしれないんですけども。ちょっと歌ってみてください。」始まったらR-Voxのスレショルドをガーンと上げちゃいましょう。
Renaissance Vox
歌のモニターに過大な掛かりのRenaissance Voxをセットアップ
~♪♪♪ 『no way to say』1コーラス録音 ♪♪♪~
信岡: こっちの方が歌い易い。
三人: (笑)
Goh: そういう事もありますよね。「信岡さんにも聞かせてあげるから一緒に聞いててね。」
信岡: はい。
吉田: あのー、1番ね、平均化された声が戻ってるんですよね。だから、歌手の方、信岡さんも多分歌い易いと感じる。でも、録音されてる音は「しっちゃかめっちゃか」な状態で。
森元: この状況は、HAだけで、レベルも取れてるんで、後で何とか成るレベルですけども。
Goh: まあ何とかなるんですが。
森元: 今は良いですけどね。
Goh: レベルですね。レベルだけ。あと、ノイズゲート入ってるんでキレが良くなるんですよ。でも、息が伸びなかったりとかプラグインでタイミングがずれたり、これは本当ナレーターとかナレーションとかに使うオートマチックのPlug-in。
吉田: このままやっちゃうと、歌手の方が「私ってこんなに上手くなっちゃったのか」って勘違いしちゃう。
信岡: 今、短時間でこんなに上手く成っちゃったのかなと思っちゃった。
吉田: だから、そういう事はやっちゃいけないんだよね。本当はね。
【録音されていた現実】
Goh: じゃこれを、今度はバイパスして聞いてみましょうよ。プラグインが無かったら。「ちょっとプレイバックしますね。」
間違ったセットアップ録音『no way to say』をプラグインRenaissance Voxを外して試聴
◆AメロVo小さいのでモニターで8dB上げる。BメロまあまあそのままでOK
◆サビCメロVoとてつもない爆音に一同びっくり。
吉田: まあ外すとこうなりますよね。
Goh: これは、もう一番良くない例で嘘を聞いてる訳だから、それに反応して歌っちゃってるんですよ。
信岡: 「サビがビックリです。」
Goh: そう。音小さいし、ニュアンスもちゃんと丁寧に出てないじゃないですか。やっぱり。でもニュアンスが丁寧に返ってくる音がするから歌ってて気持ち良いけども、実際にプラグインを外すとこうなってるという。でも現場では、みんな聞いてて「良いじゃない」っていう事になっちゃう。で、この状態で例えば家のスタジオに「これミックスして下さい」って来る訳ですよね。で、これを今度は、丁寧に一個ずつの音をちゃんとチェックしていくと、これで本当にOKなのかっていう風に思う訳ですよね。何か変だと。もう過ぎてしまった事だから、それを何とかしなくちゃいけないんだけれども、もしも録音する時にちゃんと出来てたら、もっと良い物に成ってる筈なんですよね。録音してる時っていうより、録音した物がちゃんと良かったら。だから、こういう使い方は非常に良くないと思うんですよね。でも、例えばここにあるマイクプリ、一個買って行って、「このPlug-inが在れば、OKじゃん」って言えばそれっきりなんだけど。それじゃあこれからの音楽業界『ダメ』だと思いますよ。だって、みんなこれと同じだもん。あなた(受講者)が歌ったって同じだよ。きっと。メロディさえ覚えてれば。
吉田: 逆に言うとね、信岡さんが聞いてて、今の声が、音量差が、本当に歌ってる声なんですよ。
Goh: 歌ってるそのままの声なの。
【マイクに声を載せる】
吉田: だから極端なことをいうと、レコーディングだからカバー出来るんだけども、普通の場所だとカバー出来なくなっちゃうからA部分はもう少し大きな音量で。
Goh: マイクに近づくとか。
吉田: そう、そういう風にお互いにエンジニアの立場として歌手の立場として考えた場合、こういう風な事で勉強になって、あ、「私はここをもう少し大きく歌わなくちゃいけないんだ。」そういう風に自覚してくれるとレコーディングの方ももっとやり易くなる。もっと良い音が録れる。という風に成ってくるんですよ。それをね、外国の歌手の人っていうのは、マイクの使い方って言うのが非常に上手で、極端な事を言うとリミッターとか入れなくても、ある程度は録れちゃいますよね。
Goh: そう。あとね、僕等よくやるんだけども、アメリカの昔のマドンナ(Madonna)とかジャネット(Janet Damita Jo Jackson)と仕事した時に、鼻に通すんですよ。「それやった事あります?」(信岡さんに)だからさっき森元さんが、ちょっとマイク上げた方が良いよっていう風に言ってたじゃない。歌ってる時に鼻に通すと自然とコンプが掛かるんですよ、人間の声に。鼻に抜けるような音が来ると止まっちゃうんです。それ以上、こういう声帯から出てくる声じゃなくなるから。そういったマイクの使い方とかを分かってくると、録音してる方も機械が無くても今言ったみたいに、自分の声にリミッター掛けろって言えば、別にコンプレッサー無くても。そういう事も、やろうと思えば出来る訳じゃないですか。
【創る、録音】
Goh: それと、音って創っていく物だと思うんですよね僕は。やっぱりね。
吉田: だから要するにマイク通した段階で自然の音じゃないんですよ。逆に言うとね。だから、もし、マイクを通して自然の音じゃないんだけども、CDに最後になった場合、より自然な音に聞えるような方法が一番良い訳です。
Goh: そういう事です。だから録音する意味がある訳です。だってその瞬間をキャプチャーしたい訳じゃないですか。そのアーティストの一番良いところをね。だから「OKだ」っていう。昔は、何チャンネル?8チャンネルしかない中でセレクトしながら、1本のボーカルチャンネルを作ってく。今はもう、90何チャンネルっていう幾らでも作れる訳じゃないですか。
吉田: 幾らでもね、作れますからね。
Goh: 音楽を創るのは、トラックを録る人、歌を録るエンジニア、編集する人、ミックスをする人と、共同作業だと思うんですよね。それを、こういう便利な物だって言って付けちゃって、そういう物っていうのは一時のまやかしだから。それで録音された物に対して、本当に感動させる事は出来ないんですよ。
【求む!これが良い!判断】
Goh: あとね、僕ねもう一つ言いたい事あるんですよ。最近の、レコーディング現場っていうのはね、『いいんじゃない?』って言うんですよ。例えばプレイバックするでしょ?こうやって。歌録って録音して「いいんじゃない?」って。『いいんじゃない?』っていうのは、どういう事かと言うと、どっちでも良いって事じゃないですか。それは良いとか、『こういう風にやるのがカッコイイんだ』っていう人が居ない。大体。もうね、パソコンばっかやってるね、ディレクターとかね、話になんないもう。(笑)音楽がない。もう耳が無いのかってもう(笑)。
吉田: あのね、昔ニューミュージックが出来た頃っていうのは、ディレクターが不在だったんですよ。僕なんか誰もジャッジする人居ないからね、やんなくちゃいけないじゃないかっていう事で、やってたんだけど。ま、「あんたエンジニアのくせにね、うるさい事言わないでよ」なんて事言われてね。そういう事も有りつつアーティストに頼られてたエンジニアかもしれないけども。
【歌手とエンジニア のコラボ録音】
Goh: じゃあ、折角なんでもう一度、今度は、コンプ深めに掛けてあげたアナログ回線通して、ちゃんとした録り方でもう一回だけトライしてみましょうよ。歌。
吉田: じゃ、コンプ、EQ入れます?
Goh: 元に戻してもらって。
吉田: アタックいくつ位でしたっけ?リリースは?5位?
Goh: きつめにしましょうよ。きっと彼女きつめが好きだと思うから。
吉田: きつめ。じゃ、一番早くしてみますか?リリース・アタック一番早くしてみますか?はい。
Goh: 「今度は、また違うやり方で。歌いますから。」「AとBはマイクに近づいて、低い音をちゃんとキャプチャー出来るように。」「サビでちょっと上向いて、鼻に抜ける感じでちょっとやってみると良いですよ。きっと!」
森元: 「じゃあ1回出してみます。」
~♪♪♪ アナログコンプ深めのセットで『no way to say』を歌う。1コーラス録音 ♪♪♪~
【進化した歌入れ】
吉田: 「今の歌い易い?なんか自分が歌ってる感情が良く分かったとかいう感じがある?」
信岡: 「あります。」
Goh: 「ひとつ今の極端かもしれないんですけど、この位掛けると信岡さんの好みなのかもしれないですよね。」
信岡: 「確かにそうかもしれない。」
森元: ただまあ。後戻りできないんで。
Goh: これはもう決め打ち。これはこういう物だっていう。でも、これを再生する事によって本人も確認する訳じゃないですか。これは、プラグインで決まってる音じゃないから。だからそうやって、音を創っていって、レベルも本人との関係というんですか。マイク。もしかしたらこのマイク合ってないかもしれないし。
森元: 多分合ってないと思う。マイクは、本当に種類によって全然違うんで。
吉田: ソニーの800G?あの辺のが善いかも知れないですね。
【NOKKOさんのセットⅡ】
森元: 因みにNOKKOさんは。
Goh: 家のは、87なんです。持って来た写真のは違うんですけども。
森元: もう一個ある。ロイヤーRoyerは。
Goh: それとは全然違うんですけども。でもちょっと、ボーカルセットをお見せしましょうか。こういうReflexion Filterというセットがあって。
吉田: あれリボンマイク?
Goh: リボンマイク(ribbon microphone)。本当は87使ってるんですけども。写真が丁度きれいに写ってたから。
吉田: 結構離してるんですね。ロイヤー(Royer)だからですか?
Goh: そうですね。これは、違う人が来た時のセッティングなんです。
【マイクとの距離】
森元: そうなんですか。マイクの距離ってどうされてるんですか?
Goh: 結構ね、近く。スクリーンをもうこれ以上近づいちゃだめっていう所にしておいて、ぶつかった所がおしまいっていう。
森元: どれ位ですか?87の。
Goh: 結構うちは、近くしてますね。もう、ショックマウントにぶつけるくらい。
森元: あの、マイクロフォンって近寄った方が近接効果っていうんですけど、その低域が太くなる。で、上も伸びるんでね、その距離も歌い手さんのテクニック・・・。
Goh: NOKKOとか中域を自分で出したいと思ってるから、そういうところでやっぱり1176とNEVEとかでこう作りますね。
吉田: そうですね。あともう一つ、歌い手の側からみた心理的なものっていうのは、マイクに近い方が自分の声が良く入るだろうという凄い心理的な作用がありますね。これは、もう、大きな声を出すクラシックの歌手も同じです。「マイクが遠いんじゃない?」とか、すぐ言われますね。「いや、大丈夫ですよって」。Gohさん他に何か。
【音とコミュニケーション】
Goh: そうですね。でも基本的に、僕が言いたかったのはそこですね。デジタルの物に惑わされて、「これでいいんじゃないか」っていう。だから「本当の音を聞いてない」っていうんですかね。だから、みんな『いいんじゃない?』っていう事に成っちゃうと思うんですよ。きっと。だって今、さっきのR-Voxもツマミ2つしか、いじってなくて、あんだけの歯切れが良くてレベルがグッと上がってる訳だから、それに騙されてやっぱり作ってしまうと、どれもこれもみんな同じ様な音になってしまう。奥行きも全然無いっていう、そういう音楽に成ってしまうと思うんですよね。皆さんは、折角いらしたんだから、こういったきちんと音とコミュニケーション出来る録音姿勢を持って続けて欲しいですね。
吉田: そうですね。あの今の決め打ちで録っちゃった場合ですね。「あーちょっとやり過ぎちゃったー」みたいな事で、後で戻す方法って何か無いですかね?
【やり過ぎた時の補正】
森元: 頑張ってプラグインでやるしかない。
Goh: でもねそれが本当のその時のノリだったりとかする時は、それにミックスを合わせますね。
吉田: 逆にね。
Goh: ドラムをバンバン叩いたりとか、何と言うか、そういう音楽にするっていう。もう考えないでノリで(笑)
吉田: なるほど。ま、初めのコンセプトとはちょっと違ってくるかもしれないけども、結果的にはGood。
【良い考えを貫く】
Goh: でもね、本当に「これが良い」ってOK出すのは本人だから。やっぱり。「ちょっとコンプ掛かり過ぎてるんじゃない?」っていう場合は、「じゃ、もう一回やりましょう」って事にするんじゃないですか。
森元: やっぱり、本人が意識してる人だと良いですよね。
Goh: そうですね。でもやっぱR-Voxだとちょっと分からないかもしれない。実際どうなってるんだか分からないんじゃないかな。
吉田: 多分ね、プラグインの中でボーカルって言ったらもう、有名なのってR-Voxになっちゃうからみんな、それをこれさえ挿せば万能だからいいんじゃない?みたいな事で使っちゃうんだけど。
森元: 僕が今思ったのは、じゃあこれ録っておけば良いのかって思うんですが、それはそれで色んなことが起きちゃってるんで。ああいう粗い歌になっちゃってますからね。素材として。
吉田: 要するに、付け録りをするっていう事は、EQとリミッターを入れて付け録りをするっていう事は、そのエンジニアがボーカルに対して、「録音しましたよ」っていう、責任を取るっていう事だよね。もしそういう機材がなくて宅録で、やった場合はR-Voxを逆に入れた音をバウンスして、新しいトラックに録音する。そうすれば、自分は責任を取ったっていう事だよね。
Goh: 決めたっていうこと。
森元: 良いか悪いかは別として。
吉田: 後でね、修正、若干できる可能性はあるけども、でも決め打ちをやるっていう事の踏ん切りっていうのが、すごくエンジニアっていうのは必要だよね。
【ちょっと困り者】
Goh: で、結局それはどういう事かと言いますと編集しなくちゃいけない。編集っていうのは、チューニングを指で書いたりとか、オートチューン(Auto-Tune)とか。色々沢山。そうなっちゃうと本当の歌じゃないじゃないですか。単にキャラクター作ってるようなもんだから。もちろんね、チューニングっていうのは、鍵盤楽器と特にこういう音楽(今回)の場合は鍵盤の楽器がすごく多いからAの441っていう音の所から、絶対ずれてないじゃないですか。で、更に倍音があるから、ちょっとでもピッチがずれると物凄く気になる訳ですよね。多勢に無勢だから。そこがアコースティックな物だったりすると、多少ずれてても別に直す必要ないかもしれない。それは場合によりけりなんですけども。やっぱり本当そのアーティストが考えてる、アーティストが作る音と自分たちが作る音がこう、ちゃんとマッチングすれば一番それに越したことは無いと思うんですよね。そうすれば、『これは良いだろう!』っていう訳ですよ。これでいいんじゃない?とかじゃなくて。
吉田: 『これは良い。』
Goh: そう!これは売れる!とかね。そういう物をやっぱり作ってね。
吉田: そうですね。今の制作者の人達っていうのは、なかなか判断が出来ない人達がやってる人達が多いっていう。我々がやっちゃうのは本来は、違うとは思うんだけど。そういう人達が少なすぎるという時代に入って、ハウスミュージックが出来たから、ある部分しょうがないのかも知れないですけど。そこで結局ツールスが出たりヌエンド(Nuendo)が出てロジック(Audio Logic)が出て、色んなものが出てきて、家で出来るようになった。逆に言うとレコーディング的な基本的な部分を分かってない人達がやっちゃって、それがまた世界に出ちゃって売れちゃう。あまり良い方に音の歴史の中で今まで何十年か、モノからステレオに変わって、デジタルに変わって、そこまでは良かったんだけどDAWが出てきて逆にまたおかしくなっちゃってっていう部分もあると思いますね。
Goh: で、もっと良くないのは最近は、もう出しても全然売れなかったりするから(笑)それがもっと良ないですよね。
吉田: もっと良くないですね。だから皆さんも配信で聴くのも良いかもしれないけども、一応パッケージメディアであるCDを買って欲しいっていうのが、我々のね。
Goh: そう、だから、その為には残るものを作らないと。僕らだって、30年前に録音されたものとか、たまに聴いて良いと思いますもんね。やっぱり。そこには、やっぱり魂を感じるから。でも、昨日今日出来たものに対しては、それを見つけるのは中々難しいですよ。
【音と音楽への信念】
吉田: それはあの、例えば、昔は、生音を使ってレコーディングしてきたから、それが心に残ってるのか、例えば今は音源をサンプリングの音を主として造っちゃって、歌だけ入れて、じゃあ、折角だから生弦だけも入れようかとか。そういう部分でダメになっちゃたのかどうなんでしょうね。
森元: どうなんでしょうね。でも、因みに今出てるやつは、そういう音楽なんですよね。
Goh: でもそれで成功してる物は本当一握りですもんね。成功してる物はね。
吉田: そのコンピューターで作った音で成功してる音楽ってのも、一握り。
Goh: だから、これからエンジニアになってね、私達は、20年ちょっと、保さんはもっともちろんキャリアお持ちですけども。そういう風にして、これからこう自分達がサウンドエンジニアとかプロデューサーになって思う事は、20年30年出来るかっていったらば、ちょっと疑問かもしれないですよね、こっから先が。だから本当にちゃんとした姿勢を持ってないと、正しい気持ちを持ってないと続かないかもしれないですよね。その場はいいかもしれない。このR-Voxのように、その場はOKなんですよ、きっと。
吉田: だからかぁ。最近レコーディングしてるよりゴルフしてる方が楽しいんだよな(笑)
冗談だけど!
【もうひとつのプラグイン】
Goh: こういうコンピューターのプラグインが。上手く聴こえてるから。上手くっていうかそれなりに聴こえるんですよね。
吉田:
森元:
そうですね。
Goh: でもみんなそれなりに聴こえるのが、こういったプラグインの悪いとこっていうか。
森元: それを言うと、ミックスでエンジニアが陥りがちなのは、マスターでMasterX掛けて、バランス取って、良い様な気がしちゃうみたいな。
Goh: そうです。大きくなってね。でも実際はそうでもないですよね。折角のダイナミックレンジを全然使って無かったりとかして。
吉田: レベルの低い影響が出るっていうのは、FMでかけた場合ですよね。でも本当は、音楽っていうのは、ある程度のダイナミックスがないと、良くないんですよね。だから、CDを買って、家で小さかったら、アンプで上げてあげて、気持ち良い音で聞けば、そのダイナミックスは、ちゃんと表現されるわけです。オンエアだけを、基準にして、こっちの方がレベル高かったじゃないとかをディレクターが聞いて、どんどんもっとマスタリングで上げる。
【音と音楽を聴く耳を持つ】
Goh: そうその、マスタリングで1つあるんですけども(笑)マスタリングエンジニアが、昔、アナログで培ってきた音楽的なマスタリング技術っていうのが有る訳ですよ。それを単純にデジタルに反映してるだけだから、耳に優しい。ボブ・ラディックとかテッド・ジェンセンのマスタリングっていうのは、結構耳に優しい音がするんですよね。でも、レベルはしっかり入ってる。そのレベルの入り方っていうのは、いかに溝をくっ付けないカッティングの溝の掘り方っていうか、培ってきたアナログのレベルの捉え方っていうんですか。それが、みんなそれに負けないようにレベル戦争になっていって、そういう、デカのCDのレベルがどんどん、リミッターですよね、もう。嵩上げする物がだんだん。それが、日本の中でも、結構同じ物を使い始める様になるじゃないですか。みんな、プラグインも何もかも同じだから、それを、どういう風に使うかっていう事に、思われがちなんですけど、僕は、どういう風に聴こえるかだと思うんですよ。それを、周波数を、6バンド位バラバラにして、ラジオの乗りが良い音にする為に、ミッドレンジをグッと上げる、ミッドレンジのレベルを3dB上げる為には、ローを削るんですよ。足し算引き算しか出来ないんですよ。だから、結果的にローが全く無くて、ミッドがぐっと上がった、ミックスのバランスとは大よそかけ離れたものが出来上がってくる。折角ミックスされた音が、ある程度なっても、マスタリングのホントに枠に入れた状態になっていない。そうすると、聴いてもつまらないですよね。それは、長持ちしないしね。僕たちはミックスしてると、100回200回位は、同じ音を聴くじゃないですか。でも、下手なマスタリングされちゃうと、2回も聴けない位になっちゃいますよね。だから、何を言いたいかって言うと、聴く耳を持つっていう事が、何よりも大事だと思いますよ。
吉田: だから如何に、聴く耳を如何に養うかが大事で、色んな昔の音をいっぱい聴いてみるっていうのも必要なのかもしれませんよね。
Goh: そうですよ。100年持つのは中々難しいかもしれないけど、すでに30年持ってる名作っていうのは有る訳だから、じゃあここから先30年後に聞ける名作が作れるかって言ったら難しいですよ。
【遅延補正】
Goh: それで、僕ちょっと思ったんですけど、話飛んじゃうかもしれないけど、ディレイカンバセーションてあるじゃないですか。それを入れないと基本的には、このプラグインは使えないですよね。でもそのディレイカンバセーション外して、プレイバックすると物凄い綺麗な音がするんですよね。
森元: 遅延補正ですよね?
Goh: 遅延補正なしで聴くとね。だから、もしもプラグインを使わないでミックス出来たらば、物凄い綺麗な音になると思うんですよ。きっと。
吉田: 逆に言ったらそうですよね。
Goh: 頼らないっていう。外した時の音って物凄い綺麗な音するんですね。だからそのくらい録り音に注意して、録音されれば、たぶんミックスでどうにかなるっていうのは、限界になるかもしれないですよ。飽和になるかもしれないですね。
吉田: 確かにそうですね。HDだったら、HDのICに負担がかかって、アールタス(RTAS)だったら、CPUのほうに負担がいって、だからそのミックスを、優しくする為にも、CPU負担を如何に減らすか。HDの基板の負担を如何に減らすかっていう事で始めから録る音をしっかり録っておくっていう事が、必要かもしれないね。
Goh: そういう基本に戻った方が良いのかもしれないですね。もしかするとね。そうすれば、物凄くシンプルに。ちょっとプラグインは、さっきもプラチナムスタジオ貸切状態で掛かってると、物凄い濁ってる感じしますよ。1枚向こう側に有るみたいな感じします。昔、初めてデジタルの音楽になった頃の音がするみたいな。もしかしたら、彼等はそういう時にそういう音を聞いてたのかもしれないですけどね。
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― Q & A ―
吉田: ここまでで、私は今まで何をやってきたんだか良く分からない事、今後どうしたら良いのかなとか、なんか質問ありますか。
森元: 自宅で録音されてる方だったり、エンジニア目指してる方だと思うんで。
【ヘッドフォンの返しpartⅡ】
福原さん: モニターというか、返しについてもう少し教えて頂きたいんですが。
吉田: まず、ピッチをちゃんと決める、音程を取り易いのは、コード楽器を出してあげる事ですね。極端な事言うと。オブリガード、対旋律の楽器をあまり出さない、モニターバランスは。だから極端な事言うと、フォーリズムで良いかもしれないね。ドラム、ベース、キーボード、ギターくらいで。縦の線と音程が分かる。ノリと音程が分かるようなミキシングバランスにしてあげる。だから、ミックスが完成品の音でボーカル歌うと歌い難い筈。まあオブリガードっていう、その対旋律の部分は、なるべくちょっと下げ目にしてあげる。その絡みも、例えばギターが「ウィンウィン」って入って、その間に入るのも必要だけど、それは、モニター1つ下げても、あ、「ここで歌と絡んでくれるんだな」っていうのが分かるから、それも下げて大丈夫。そういう歌い易いバランスを作ってあげるっていうことが一番大切だね。
森元: 完成ミックス、それは無理だって思っちゃいますもんね。出来上がったミックスで、それに歌を乗せようと思うと結構大変なんですよ。
吉田: その完成形でカラオケで歌ってみると結構、音程は取り難いよ。だから、カラオケ屋で上手く歌える人は、本当に上手いかもしれないね。まあ、カラオケ屋のは薄いからね、歌い易いかも知れないけど。とにかく、ミキシングバランスとボーカル、オーバーダビングのバランスっていうのは別の次元で考えてあげないといけないよね。もしかしたら歌い易いバランスは、極端な話、音楽バランスじゃないかもしれないね。そこが一番オーバーダビングの時必要だね。楽器によってまた違うけどね。ギターの時とかね、また違ってくるけど、まあ大体ベーシカルバランスは近寄ってるとは思うけど。
【ヘッドフォンの返し単独】
森元: あとは、Cue Boxっていってヘッドフォンの返しに2Mix、オケと歌を混ぜた物に対して、歌を単独に返したりするんですけど、それはエンジニアの腕として、あんまり上げられない様なバランスをちゃんと作って欲しいですね。下手なエンジニアだと歌が聞こえないからと言って、歌を必要以上に上げられちゃうんで。
Goh: 自分で勝手にね。
森元: それは、エンジニアとしては余り格好良くない。それが上げられない様なバランスを取ってあげる。だからといって、歌を上げれば良いってもんではなくて、さっき保さんがおしゃっていた様に、やっぱり音を整理して聴き易い歌い易いっていうのを、まあ、何より,自分が歌ってみれば、多分分かりますよ。
【ヘッドフォンの返し遅延】
森元: あと意外と気を付けないといけないのは、DAWだとマスターフェーダーにコンプレッサーを入れたりしてると、Plug-inのレーテンシーで全体が遅れてしまう事があって、それは自分が声出した時に戻ってくるのが遅いんで、歌い難いです。なるべくモニターのタイミングを遅れない様に。
吉田: 特にマキシマイザー系とかね、ああいうのは入れたら殆んど歌えないよね。
森元: でも、あれですよね、VSTとかだとやっぱ遅くなっちゃうんで。
吉田:Goh: そうそう(賛同)
そうVSTで250サンプル位ですか?
森元: その位遅くなるんですかね?ちょっと分からないですけど。
Goh: だからHDじゃない人達は、アナログのコンソールにVSTのプレイバックの音じゃなくて、所謂マイクの直接音っていうんですか、インプットをモニターの音に返しますね。
森元: 録ってる音をパラでって事ですよね。
Goh: ここはちゃんとツールスのインプット返して、ICON通してこの中から聞いてるんですけども、特にレーテンシーが遅いのは、マイクの方を送ってそれを聞きながらやってる人が多いですね。
福原さん: ありがとうございました。
吉田: あと何か。はい、山本さん。
【16bitと24bitそれぞれの1bitは違うの?】
山本さん: ボーカルのレコーディングとはちょっと違うことなんですけども、さっきHotodaさんが話された中で、僕が疑問に思ってる事とちょっと直結したんで。量子化ビットって云われてるんで、ある物を読んだ時に、1bit=6dBのダイナミックスレンジがある、なのでCDの規格16bitより、192kで24bitはもっと大きく録れるみたいな事が書いて在ったんですけど、という事は16bitの1bitと24bitの1bitは同じだと思ってたんですね。だけど、量子化ビットの説明が書いて在る物とか、ネットとか見てみるとこういうグラフを、幾つか24個に分解するのか16個に分解するのかで解像度が違う、24の方がより細かく分解されるから、解像度が高い、より忠実にアナログの音を再現できるという事になっているとなると、24bitと16bitの1bitは違うんじゃないのかなと思ったんですが。
【デジタル、ハイサンプルの解像度】
Goh: ああ、それは数え方によりけりだと思うんですけども。実際には24bitと16bitでは、もちろん全然違うんですけども、僕がさっき説明しようとしたのは、一番上のピークの部分なんですよね。それはそれ以上大きくならない様になってるんで、その解像度っていうのは、絶対的に下の方に有るんですよ。一番上はそれ以上大きくならないから、このメーターの所謂これピークですよね、これが24bitだったらば、8bit上に有るとすれば、この上に8個足されてこういう24bitのメーターは上に沢山有るっていう風に成ってしまうけれども。ゼロはゼロなんですよ。
山本さん: 実際はゼロはテッペンが決まってて・・・
森元: で、16 bitと24bitは、階段で言うと24bitの方が多い。デジタルの波形ってこうカクカクに成る訳でしょ、アナログは曲線で。サンプリング周波数っていうのは、縦線なんですよ。サンプリング周波数っていうのは、縦を切る早さ。1秒間を4万8千回切る。つまり48kでサンプリングすると4万8千回切る。で、縦に切ったものをバラバラにして、高さを見なきゃいけないじゃないですか。で、高さを見るのがビットで16bit。無音からデジタルの一番でかい所までを。1 bitは、 0・1。2 bitは、 00・01・10・11っていう4段階しかないんですよ。階段が。で、それを16bitにすると、何段階かになって、階段がだんだん細かくなっていくじゃないですか。で、24bitにすると16bitの256倍細かくなるんですよ。一つ一つの階段が。で、結局一番影響するのは、小さい音っていうのは、波形が小さいので16bitだと四捨五入というかこう、無いところが切り捨てだから、階段で表現できない。
吉田: だから結果的にビット数が多いと解像度が良く聴こえると。
森元: そう。階段が細かくなっていくから元の波形が細かくなる。
吉田: それは24bit使ってなくても、24bitがフルビットで有ったらば、その20bit部分しか使ってないけども、解像度が良く聴こえる。
山本さん: ということは24と16のビットは違うということになるんですか?
吉田: 違う。
Goh: そうですね。で、特にさっき言った、アナログに近いっていうのはベースの音、低音っていうのは物凄い波形が長い訳じゃないですか。サインウェーブというか正弦波みたいに成ってくると、そうすると周波数が低くなればなるほど、アナログの波形が長くなるから、それをサンプリング、量子化してった時に、例えば192kの24bitになるとそれは殆どアナログ波形に近い・・
 
森元: 縦も細かいし、横も細かいっていう事ですよね。
Goh: だから44.1の16bitよりも、もう192の24bitになるともうそれは、もの凄く細かくなるんで。それはもう解像度は明快に成るんですよね。でもそこが一番分かるのはそこが一番大きなレベルではなくて、一番小さな時にしか分からないじゃないですか。だからもしもチャンスがあったら聞き比べられるのは、リバーブがそういうスネアでもなんでもいいですけど「ポーン」とリバーブかけて、「スーッ」と音が自分の耳に、まあスピーカーから聴こえなくなるまでの音を16bitと24bitで聞き比べると24bitの方が全然長いですよそれは。
森元: 階段が細かいんで、最後まで表現出来る。
Goh: そう。例えば10秒くらいのディケータイムのリバーブを付けた時に実際に10秒って書いてあるけども、10秒聴こえないかもしれないです。16bitでは。でも24bitでは聴こえるんですよ。
山本さん: ということは、僕が読んだ、その1bit=-6dBのダイナミックレンジっていうのは、それは?
三人: それはよく分からないですね。1bit=-6dBっていうのは。
【デジタルの屁理屈とダイナミックス】
梅津: こういう事です。累乗される一桁がちょうど倍になるんですね。要するに16bitがどういう事かと言うと、1bitは、オンとオフ、0と1という2つなんですよ。これを16bitなら2の16乗した分の分け方をするっていう事なんですよ。ダイナミックレンジっていうのは0からピークっていう量は、これは全部同じです。ただこれを2の16乗の個数で割るのか2の24乗分で割るのかっていう形なんです。確かに16bitと24bitでの、1bitの違いっていうのは差があります。差はありますけども、それは一桁上がるとき2倍されるので6dB違いますよっていう理屈なんです。分かりますか?
場内: よくわかんない(苦笑)
受講者A: 16bitって2の16乗じゃないですか、これデシベル計算すると96dBなんですよ、24bitの場合2の24乗で126dB相当で、30dB違うんですよ。でもこれは16bitの上とか下とかに有る訳でなく30dB分細かいという事なんです。
梅津: さっき、Gohさんがおっしゃったのは、24bitのフルビットを使わなくとも、このピークまでいかなくとも、余裕あるところでも解像度は得られますよっていう事です。
吉田: 大丈夫?
Goh: ホワイトボードがあったら良かったね。
森元: あんまり気にしなくて良いかも知れない。
【Comp→EQ と EQ→Comp】
山本さん: あと、話は変わるんですけど、さっき大体HAの後にコンプいってEQがいくって言ってたんですけど、それを逆にする場合もあるんですか?EQとコンプを入れ替えるっていうのは?
Goh: 出来ますよ。それは、勿論。
吉田: 間違った方法ではないよ。
山本さん: けど、色んな方のを見てると、HA、Comp、EQが大体オーソドックスな?
Goh: そう。例えばね、なんでEQをコンプの前にしないかっていうと、EQのポイント変えるとスレッショールドが変わっちゃうんですよ。
Goh: そう。例えばね、なんでEQをコンプの前にしないかっていうと、EQのポイント変えるとスレッショールドが変わっちゃうんですよ。
吉田: 変わってくるね。ピークが違ってくるでしょ?
森元: まあ逆にそういう使い方をする場合もあります。
Goh: ミックスの場合は殆どそうします。大体そうする場合が多いですね。
山本さん: 用途に合わせて?
Goh: そういう事です。ただ歌録りの場合はやっぱりその、一発決めちゃう音だからやっぱり。そのEQは音を作るというよりもあくまでも補正をするという。一番最初に話が出たように、フィルターかけて低域をカットしたりとか、そういったことの用途の為に使うから。
山本さん: HAにフィルターが付いてなければ、まあ低域に。
吉田: ローカットする。
森元: まああとは、そのコンプ掛かった時に音色がやっぱり変わっていくんで。僕の印象だと何と無く上のほうは減っていくんで、その時に減った分をちょっと補正するとか。そういう使い方。
Goh: そうですね。コンプが掛かるとレンジがというか、周波数のレンジがちょっとキュッと締まるっていうんですか。その分キュッと締まっちゃうから、それをちょっと。
森元: 補正してあげるっていう意味でコンプの後にEQという。
Goh: そう。カットばかりではないんですね。ちょっと足したり。
吉田: そう。だから、EQの後にコンプ入れるとEQだと3k例えばミッドを上げても、それだけまたコンプ掛かっちゃうから、上がったように感じなくなる可能性もあるよね。「もっと上げていたい」っていうさ。それは無駄な抵抗をやっている訳だから。例えば効果的に掛ける場合はやっぱりリミッターのあとにEQを上げたほうが良いよね。効果的にEQを上げた方が素直に出てくるっていうか。でもオーバーレベルになるからね。EQを上げただけどんどんレベルも上がっていく訳だから。だからそこを注意すれば良い訳。
【だから、レベルは大事】
Goh: で、その後に、僕のマイクセットだとレベルを下げられる様にしてあるんですよ。昔はアナログのフェーダーが有ったんだけども、それが今は無いんで、それを後のところ、ボリュームのノブをつけて、ちょっと下げられる様にしたりすると、EQで上げた分とか、コンプレッサーで上げた部分をツマミで補正出来る様にしたり。コンプレッサーの歌のレベルは良いんだけども、録音する先のレベルが大き過ぎたりする時に、あえてコンプレッサーのアウトを下げちゃったりすると、設定してる位置によっては、ちょっと動かしただけで6dB位下がっちゃったりする訳ですよね。それをだから僕は、EQの後に、(ツマミに)カールがあって一番緩い所では1dB位しか動かないようになってるから。1dB下がったって歌ってる本人は分からないけど、6dB下がったとなると結構(笑)
吉田: 分かっちゃうよね。どうしたんだって。
Goh: そういう風に成っちゃう様にレベルは非常に大事だと思うんですよね。
【歌のEQは、何時決めて何時入れるの】
受講者: 基本的な質問なんですけども、今DPのソフト使ってるんですけどもね、Plug-inって、その、なんですかアナログでなくて録音ソフト使った場合にボーカルありますよね?ボーカルって、EQとかその、ボーカル歌った後EQ掛けてやるのか?歌のやる前から入れるんですか?EQって私ちょっと判らないもんで。
Goh: 歌いながらですか?
そう、どうなんでしょう?
Goh: まあ一回目歌ってもらって、それを聞きながらね。
受講者: やっぱそれでEQとかリミッターでいいんですよね?
Goh: 勿論EQ,コンプで。コンプレッサーの方が良いと思うのは、現代の音楽っていうのは、この曲もそうですけども、AのメロディがあってBのメロディがあって、「ガー」っとボリュームがあるCのサビがあったりするともう段差があるじゃないですか。その度に一番上のものを「カチ」っと押さえ付けるんではなくて、小さい音をある程度上げて、大きなところはこうあんまり潰れない様に音を録音するっていう為にコンプレッサーを使う方が、最初からでかい音で歌わして、さらに大きい音を抑えるっていう使い方じゃない方が良いと思うんですよね。
受講者: 先、歌ってもらってそれからEQ・・・
森元: そうですね一回目、歌ってもらって、それ聞きながら。まあ、だから早い方は多分一回でバシッとこう。
Goh: 必要であれば。
吉田: それはなるべくね、短時間に決めてあげた方が良いですよね。
Goh: 負担にはならないですよね。歌手に。で、あとマイクロフォンによっては、そのマイクしか無くてあんまりHighって言うんですか、高音が出ない様なマイクの場合は、ある程度先にEQしておいてあげた方が。自分で判るんだったら。
森元: それも経験で、だと思いますね。
吉田: だからマイクの特性をね、ちゃんとご存知であればフラットな音はこういう感じだと思えば、始めからそういうEQ入れてあげればいいじゃないですか。
森元: 聞いて決めるのが良いですよね。
Goh: 聞いて自分が、どの音を求めてるかですよね。
吉田: そうそう。
Goh: でも、後でやるのも良いですよね。後でミックスする時に。EQしてこうちょっと。高音上げたりとか、ローをカットしたりとか。
受講者: そういうのケースバイケースでやれば良いんですね。
吉田: ただ僕なんかだと、「ドッダド、ドドダド」のオケの中で「モケッ」とした声で、これ、出て来る訳ないですから、そういう場合は曲によっても変えていくっていうのも必要ですよね。
Goh: 他には何かありますか?
【歌のダイナミックスとオケのダイナミックス】
受講者: あの、ボーカル録った時にさっきあの、ボーカルの音量がかなり差が大きかった事なんですけども、元々のオケがAはすごく小さい音でサビの時は他の楽器の音がすごく大きかったりする場合に、ボーカルだけコンプかけて平均化しても、元々のオケの大きさが、平歌とサビでだいぶ違ったりした時は、そのオケのほうにコンプを掛けて、ある程度平坦化してボーカルはコンプを掛けて平坦化したのを録るとか、そういったオケを調節しながら録る事ってありますか?
Goh: それをやるとね、最終的にものすごく平べったい音楽になっちゃうんですよ。
吉田: ダイナミックス無しの音楽になっちゃう。
Goh: それはやっぱり、完成像をある程度イメージして。
森元: それは、アレンジの話とかになっちゃいますね。
Goh: でもね、今回僕が大変苦労したアルバムとかは、全部こう平らになって来る訳ですよね。そういうのばっかりで、全部、R-Vox外した途端に、これじゃあダメじゃないかって、かといって全部歌い直せとか言えないから、それを僕は一度アナログのパルテック(Pultec)の真空管のいわゆる倍音がこう緩く掛かるバッシブのEQが在るんですけどね、それに一回全部通して低い音を全部上げて、高い音を全部して、自分なりに平均でレベルを書いたのをもう一度、取り込み直して、それで処理して音楽、創りました、ミックスしましたけどね。
森元: その言ってた話はたまに有るんですけど、そういう場合はエンジニアの気合で乗り切るとか(笑)あんまりコンプ掛けずに。なんか乗り切る方法を考えますね。これどうしようっていう時は。それは、保さんがさっき言われた様に、端折る物があったり、そういう風なので、組み立てをね、何とかして、歌を標準的なセットで何とか乗る様に作る。
吉田: あとだから、自然の音を電気的に変換しちゃう段階でダイナミックスがある程度、狭まっちゃうわけですよ。録った時点で。そういう部分を、あとその生声っていうのは、自分で聞けば聞ける訳ですよね。だからそういうCDになった場合っていうのは、ダイナミックスをもっと縮めた段階で、作ってあげないと、音楽として上手く成立しない部分も出てくる可能性もある訳ですよ。だから、ダイナミックスを狭めて。無くしちゃいけないけども、狭めてあげる。そうすると、そのオーディオ装置で聞いたとき、丁度良く聴こえるという。そういう風な電気的な話なんですよね。だから、それを上手く使うっていうのが、エンジニアの力量でもあるし。
森元: 今聞いた話で多分想像できるのは、アレンジャーの人が最初からマキシマイズしてオケが出来ちゃったみたいな。それだと困りますね。
Goh: 入る所が無いっていう。で、せっかく歌手の人が低音のピッチをピシっと取れる歌手の方でも、そんなビッシーってこういう音にやったら、(正しい音が)どの音だか分からないですもんね。
受講者: ありがとうございます。
【録ってる間フェーダーを触ってるんですか。】
前田洋介氏:
(ROCK ON PRO)
森元さん、録ってる間ずっとフェーダーを触ってらっしゃいますね。
森元: ああ、ずっとモニターのレベルはずっと触ってますね。
前田: たぶんその伝統って、もう無くなってると思うんですよ。その話をちょっと、して頂きたいなと思うんですが。
森元: その話は、じゃあ保さんから(笑)
吉田: 僕ですか?僕は、デジタル大好き人間で、コンピュータも昔から好きだったんで、最近、ちょっといじるのキツイんで、昔から、ワンコーラス歌ってもらって、それで、それをフェーダーを動かすんですよ。で、描いちゃうんですよ。
Goh:
森元:
(笑)すごいなー。
吉田: 僕が使ってたのは、ニーカムワンっていって、フェーダーだけ動かせるやつで、それを1回、アシスタントに言って。
森元: それ、録りフェーダーですか?モニターフェーダーですか?
吉田: 録りフェーダー。
【僕は、モニター動かしてるんですけど。】
森元: 録りフェーダーを動かすんですか。僕は、モニターを動かしてるんですけど。
吉田: あ、本当。そうか。
森元: 録りは、今動かすとなると、この(コンプの)アウトプットいじるしかないんで。
Goh: それか、後ろですよね。僕は、後ろの小さいやつ。ストレートフェーダーじゃなくて、丸が2つついてる、丸型フェーダー。
森元: 僕は逆にいじらないですね。モニターだけいじってて。それも後でやろうって思います。
Goh: 僕らは、一番最初にやった弦のセッションは、2チャンネル。ダブルを録る時は、今やってるやつと一緒にピンポンしながら、やってましたね。だから、バランス取り直せない。
森元: でも、そういう事を積み重ねて、録音してきた自信が有るから、色々判断できる訳ですよね。
吉田: その時は、そうやるしかなかった。方法が無かった。だから、そういう意味じゃ良い時代ですよね。今は、何でも出来るでしょ。
森元: そう思うと今の人達は、後で何とでも成るんで、決め打ちが出来ないですね。
吉田: それを始めからやっちゃえば。
【歌、録音の一番大事にしてるところ】
前田: 歌を録音するときに、僕も元々エンジニアをやってたのもあって、なかなかエンジニア同士で、聞き難い事なんですが、皆さんどこを一番大事に録られてるのかなっていう事を、お三方に聞いてみたかったんですけども。
【プレイバックする時に歌をちょっと下げて】
吉田: 一番陥り易いのは、歌ダビングしてる時っていうのは、歌大きく聴いてるよね。歌の言葉とかが全部聞こえちゃう。音程も、大きめだから、音程が、外れてるのか外れてないのか分からない時が在る。それを分かり易く、プレイバックする時に歌をちょっと下げて、オケに馴染ませて、それで、チェックする。僕がやってる時はディレクターもいるし、その場で両方でチェックして、「ここを歌い直そうか」って。だから、まずその場は、歌い易い状態を作って、歌手に歌わせてる訳だから、逆の意味で第三者的にはなってない部分はある。客観的に。それは、技術じゃなくて。だから、そういう意味じゃプレイバックの時に、いつも下げて僕は聴いています。
【コンプのリリースタイム】
森元: 僕は、歌録ってて一番気にするのは、コンプのリリースタイミングですかね。リリースタイムで、歌が上手くなるって僕は思ってて。そのポイントを掴めるかどうかが、エンジニアとしてね。あとは、ゲインでも音色が変わるんで、すごい悩む瞬間とか、有りますね。1つ上の方が、歌的には良いんだけど、各機材の良いレベルを使ってるとオーバーしちゃうみたいな時もあったり。でも、1つ下げるとヌルくなるというか、張りがなくなって。
吉田: 良い意味での、若干歪み感。
森元: ひょっとしてそっちの方が良いんじゃないかと思いながら。
吉田: それで、OUTを下げればいいってもんでも、ないんだよね。その辺が難しいよね。
【言葉っていうのは大事】
Goh: 僕は、そういう我慢や忍耐力がないんで(笑)ダメかな?今日は、みたいな。だから、一番本人が、一番楽しく出来るっていうのだけですね。でも、レベルとかあまり気にしないで、ちょっと深めに歌っちゃったらば、それはそういうもんだっていう。だから、昔マドンナとかジャネットとか、ロバータ・フラック(RobertaFlack)とか一緒に仕事した時っていうのは、自分が持ってるのは、レベル、録りのフェーダーとか、コンプレッサーとか、ヘッドアンプとか、それだけ。それだけしか、考えてないですね。歌詞も、一応聴いて、自分でもこれは分かる、これは良いとか良くない位は分かるけども、とにかく当時はパンチインがすごく多かったんですよ。今はそういう思いをしたくないんで、とにかく良い状態で録れてて、自分で「どうだった?」って言われたならば、自分である程度判断して組み立てて、それを一緒に聞いて、ここは、直した方が良いとか、これじゃだめだとかいう事も、本人と一緒に聴きながら、やるっていうやり方が多いですよね。その時に、言葉っていうのは大事ですね。自分が、ツマミをいじらないと、言葉っていうのは、凄くよく見える。聴こえて来るっていうんですか。でも多分、全部は出来ないと思うんです。
吉田: 出来ないですね。だから、例えば、ボーカルだったら、頭をちょっと馴染ませてみたいな感じで、動かす場合ありますよね。
Goh: そう。共同作業としてね。
吉田: そうですね。あと、音程が下がれば、必然的に声量が下がるわけですから、ちょっと上げてあげるとかね。
Goh: その時にフェーダーがある程度0のとこだと、ほんのちょっと動かしても、分からないけれども、レベルにはきちんと。
吉田: そう。上がったような感じになりますよね。
森元: そんな感じですけど、どうですか?
前田: ありがとうございます。
【音楽の未来】
吉田: あともう1つくらい。何かあります?折角ですから。ボーカルの事じゃなくてもなんか。
受講者C:
(澤ノ井さん)
関係ないかもしれないですけど、とりあえずお三方。私は単純に聴くほうのファンとして、今回この場に居るのが凄い光栄なんですけど。最近のやっぱり、音楽、聴くに耐えないという言い方は失礼かもしれないですけども、やはり自分が昔聴いていた頃80年代とか70年代のを聞いて育ってきたんで、やっぱり。なんで今のDAWのテクノロジーの進化によって、作るのは簡単になったんですけど、ただモノとして価値が無くなってしまった。今の若い人達は、ただダウンロードして、飽きたら捨てちゃうみたいな。それは自分個人としては悲しい。
受講者C:(澤ノ井さん) しょうがないかもしれないけど。ただやっぱり、「良い音楽がもっと広まれば良いのにな」って思うんですけども。こういう会が有る事によって、スタッフ側の方達は、なんか今の一般のユーザーの人達の考えてる事の情報が分かればいいと思うし、・・・何と言うか難しい事になっちゃいますね(笑)今後、聴く音楽はどうなっちゃうのかっていうのが個人的に心配で、それを皆さんどう思ってるかを知りたいのですが。
あー。
森元: どうですかねえ。CD売れないとねえ。予算も減りますからね。お金が使えないっていう事は、スタジオに入る時間も短くなって、生音も使えなくなるっていう。大体今は、悲しいかなアレンジャーっていう人が自宅でDAWで録ってっていう事になっちゃってるんでね。まあ、どうすればいいんですかね?
吉田: うん、だから今後、独身の方がここには多くいると思うんですけども、結婚して子供を沢山作ってもらって、もう一回自分の子供に対しての、音とはこういう物だよっていうのを(笑)そうすれば、あと100年後にはまた、昔の良い時代に戻るんであろうと。まあその時は、僕達居ないかもしれないけども。まあそういう道標を作るためにも、今日みたいなこういうセミナーを作って皆さんにこう、今後のフィロソフィとして、音楽に対するフィロソフィを考えてもらって、良い様に考えてもらって、こう子供に、今後続けていけば。まあ、うちの娘なんかにもね良く言ってるんだけど、悪い音良い音っていうのは、聴き分けられるね。ただそれを身近に感じるか感じないかっていう部分であると、今流行ってる音の方が、身近に感じると。僕が何時も娘に言われるんだけど、父さんの音は、ちゃんと正座して聴かないと聴けない音だって言う。どういう意味だっていうと、ちょっと雲の上の音になってるとかね。ホントはね、両方あって良いと思うんだよね。身近な音、PAの音がそのままCDになって、ライブで聴いてるような。それも1つの身近な音だよね。それも有り得ると思うんだよ、文化としては。でも、その中での贅沢な音、サウンドっていうのは、1980年代とか、70年代後半から出てきたニューヨークサウンドであり、フィラデルフィアサウンドであり、LAのサウンドであり、ブリティッシュサウンドであり、ビートルズの後期時代のであり、凄い良い音してるのも沢山有るよね。ビートルズの始めの方は、大した事ないんだけど。録音技術が一番ピークにあった頃、あの当時は一番ピークだったよね。ホワイトアルバム以降っていうのは。凄いみんな良い音してたよね。あの当時のああいう音に戻すためには、今後また流行りのものからちょっと変えていかないといけないかもしれないんだけど、でもまあどういう音になるんでしょうね。
Goh: そうだからね、僕はアナログのターンテーブルでね、ずっと聴いてますよ。昔の音をね。で、やっぱり聴くと、物凄い音ですよやっぱり。その音は、忘れちゃいけないと思ってて。家のスタジオは、音って言うのだけはやっぱり、神棚もあるんですけど、音って言うものに対しては絶対に忘れちゃいけない、勘の様な物って言うんですかね、そういうものは無くさない様にって思ってやってる。で、やっぱりその、成功する人っていうのは、聴く人もそうですし、作る人もそうですけど、ほんとに一握りなんですよ。成功できる人っていうのは。だから、ほんとの一握りにならないと、世の中の為にならない。僕がニューヨークにいた頃っていうのは100人位エンジニアいて、みんな良い仕事してましたもんやっぱり。当時。今は、本当に良い仕事してる人っていうのは日本の中で数人しか居ないですもんね。だから音っていう物を大事にした方が良いと思います。って僕達は思ってるんですけどね。だから、僕は音楽でご飯を食べてると思ってないもん、やっぱり。自分は箸でちゃんとご飯食べてるから。そういう気持ちだけでも、結構大事なんですよ。そうしないと音楽って楽しめなくなっちゃうから。『自分が良いと思ったら絶対良いもん。』これは絶対良いって。 僕は、「いいんじゃない?」とは思わないですよ。これでいいんじゃない?っていうのがあまりにも多いから、聴くに耐えないのが多いんじゃないかなやっぱり。
吉田: やっぱり音を楽しむからね、音楽って。
Goh: そうですね。作る人もスタッフもずーっとねパソコンでしてる人が作ってる音楽って、何なんだろうって思う。パソコンでダウンロードして、「送っといて」なんて言って。「何時、聞いたんだよ」みたいな。もっとでっかい音で聴こうよみたいな(笑)そういうのやって下さいよ皆。是非。
【音楽業界の今後】
受講者:渡部さん 音楽業界のど真ん中に長年いらっしゃる三人が集う機会は中々無いと思うんで、ちょっと外れたこと 聞きたいんですけども。今、音楽周りで話題になってることが2つあって、1つは著作権と原盤権の問題。もう1つは音楽の価値、音楽そのものの価値の減少が話題になっていて、その後者の音楽の価値の減少っていうところ について聞きたいんですけども、昨日も音楽評論家の高橋健太郎さんとジャーナリストの津田大介さんが、音楽業界の今後っていう事に関して言っていたんですけど、その二人が言ってるには、音楽っていうのはそもそもそんなお金を使って聴くもんじゃなくて、you-tubeから自然に聴こえてくればそれで良いし、ミュージシャンもそれで稼ごうと思っちゃそもそもいけなかったんじゃないかみたいな所で、二人の話は落ち着いてたんですけど。それは、僕も分かる所は在るんですが、けどやはり僕は、華やかな渋谷のレコーディングスタジオとかで、何千万とかで作られたアルバムとか、そういうのを今後も聞いていきたいと思ってるんです。けど、音楽業界の今後っていう事についてお三方はどういうふうに考えてらっしゃいますか?たぶんここにいる、若いこれからの、森元さんとかGohさんとか吉田さんとかに憧れてる方がいると思うんですけど。
Goh: 僕は、自分がレコーディングスタジオを作ろうと思ったのは、2つ有ると思うんですよね。レコーディングスタジオ、ミックススタジオを作ろうと思った一番の大きな理由は、いつまでもミックスしてたいなって思ったんですよね。で、自分の思う作品を作りたいから、自分のミックスルームを作ろうと。で、まあ4年経ってみて、毎年毎年その仕事っていうのは、今までの様な、10年前の様な仕事ではなくなって来てるのは確かなんですよ。インターネットが普及したんで、インターネットから仕事は沢山来るようになったけれども、確かにCDはインターネットから来る仕事ほど売れてない事は確かで。それはものすごく反比例してる。ところが、本当の意味での自分がやりたい事は、仕事を増やす為ではないんですよ。それは、今までの様に仕事を増やす為にスタジオを作った訳ではなくて、自分がしたい仕事を作る為にスタジオを作ったんであって、今は、自分がプロジェクトを創る所から仕事を始める様になってきましたよね。
Goh: だから、まず、インターネットから仕事の注文も沢山来たりするんですけども、全部が全部受けてると、どんどん値段競争になってきて。幾らでも安く出来るっていう様になるよりも、良いアーティストで、すごく興味があるアーティストがいた場合は、そういう人達のディストリビューション(distribution=配給)、ライセンス契約をまず探してあげるっていうところから、去年位からやってるんですけどね。そうすると、まずミックスを仕事としてする前に、世の中にどういったニーズが合っているのか?どういうところでこのアーティストを紹介する事が出来るだろうかっていう、プロジェクトを先ず造って、それに併せてミックスをしていくっていう風にしていかないと、今の新しい時代には着いて行けなくなる。その場面でミックスして、出来上がり。確かに量産された時代だったら良いけども、これからは、エンジニアっていうのは長いキャリアと経験のもとに、培って最終的にエンジニアであって。でも今はそれも含めて全部が、自分でビジネスっていうか、そのチャンスを造る事が、考えられる人間しか生き残れないと思います。だからもしかすると、エンジニアなんかになるよりも、株のトレーダーになった方が良いかって思った時代もあったけども、それすらも今は夢の夢じゃないですか。皆、殆んどなれの果てに成っちゃう訳だから。そう考えると、これからの時代っていうのは、本当に良い物しか残らなくなると思うんですよ。逆にね。だからこんなに沢山you-tubeから流れて来る音楽で良いじゃないかって言う人達は、多分こういったスピーカーで音を聴いた事もないし、きっとこのカチャカチャの中で完結してる人だと思うんですよね。本当に音楽が人の人生を変えたとか、人の命を救ったとか、そういう事には繋がってないと思うんですよね。音楽を消耗品として扱う人と、音楽を心で持つ人達の中で、ものすごく差が出て来ると同時に、やっぱり少なくなってくると思うんだけども、良い物だけが残ると思うんですよね。だから、その良い物を作るために自分達は精進しなきゃいけないんだと、僕は思うんですけど。だから、そんなに沢山売れなくて良いと思うんですよ。人よりもちょっと良ければ良いっていう。それで充分結果になると思うんですよね。で、本当に一人の歌手がいて、アナログのコンソールというか、アナログを通ってきた音っていうのをちゃんと録音というキャプチャーして、ホントにこの瞬間しか無かったっていう物を、録音した物を、皆、聴きたいと思うんですよ。だから、売れるものと売れないものの差がどんどん出来てきて、で、やっぱり商業の為にとにかく出荷すればいいっていう時代はもうもしかしたら終わりですよね。だから500万枚出荷したからナンバー1取れたかっていったら、実際の人達のところには何も届いてない。ただの経済効果だったっていう。それよりも、返品の数が多かったりする事も在るって事も、あったけど、今はそれすらも無いじゃないですか。CDショップも確かに無くなって来て。だからこそ、ある意味今は、音楽を聴く耳っていうのを大切に思った方が、そういう人達だけが生き残れると僕は思いますけどね。やっぱりね。そういう風に渡部さんが思う様に、そういう風に思ってる人って沢山いますよ。きっと。で、やっぱりyou-tubeから流れてたりとかコピーでいいって人はそういう音楽しか聴いてないんだと思いますね。とりあえずコピーで良いじゃないかとかね。例えばミュージシャンの話で、細野晴臣さんのお祖父さんが、タイタニックに乗ってて、最後まで本当に演奏して、船が沈むまで演奏するのがミュージシャンだっていう。僕は、凄い良い話だと思うんですよね。ただその人達の物がなんで残ってないのかっていう事もあるけども、音楽、ミュージシャンっていうのは、本当に持ってる才能があって、その才能の為に生まれて生きてるんだと思うんですよね。だから、それをキャプチャー(capture=捕える)するっていうのが一番大事じゃないですかね。商業ももちろん大事だけども。そうすると必ず好きな人は居ますよ。だからやっぱりライブとかコンサートとか、やっぱりみんな人気ありますもんね。僕だってレディ・ガガのコンサート行ってすごい楽しかったもん。やっぱり。あれは、見てて楽しいと思いましたよ。元気が湧くっていう訳じゃないけどマドンナが20何年以上かかってやった事を、たったの2,3年でやっちゃうっていうのは、凄い事だと思いますよ。やっぱりそういうスターっていうのは生まれるべくして生まれると思うからだからこそ、いつも僕は結構前向きに考えてますけどね。
森元: 僕はエンジニアしか出来ないから、あんまり考えない。ツイッターも、見てると議論してるよね。僕は、考えない。ただ、その時代の流れに遅れないというか、その中でも仕事出来る様に、自分で、ま、プロツールス買って、自分の機材だけで出来る様になってて、そういう様なスタンスにはしてるけど、出来る事はやっておこうと思って。サンレコは佐久間さんのアレが今後の形なのかなって気がしますね。新しいメーカー。原盤を自分達で持って。
吉田: 僕はそういう意味で、今でも音録るのが精一杯ですよね、逆の意味でね。エンジニアを突き詰める為にはどうしたら善いのか、他に音楽業界を発展させる為には、我々が最大の良い音を録るのが、俺達の役目じゃないかとまだ思ってるから、他の意味でどうやって売って発展させたら善いのかなっていうのは、はっきり言って僕にはよく分かりません。何度も言うようだけど、今も音を録るので精一杯だから。ミックスするのも精一杯だし。だから、売る部分は誰か考えてくれればなあって。そういう意味である部分、分業化された中で音楽業界も発展し直してくれると嬉しいなと思います。
【凄く良い音楽を作ってほしい】
岡田: 私が入社した当初、サンプラーってなんだろうと思って調べたら、音を入れ込んでミディで操作をして音を繋げて、ループしてっていうことが書いてあって、多分、その時ぼくは、一語も分からなかったんです。そして、弊社の代表の前田に、「ミディってなんですか?」と質問していました。最初は、それ位、何も知らなかったんです。そんな時にネビルブラザーズ(The Neville Brothers)っていう、ニューオーリンズのバンドのアルバムを聴いたら、なんか全然音が違うなって思ったんです。それで、クレジットを見たら普段のエンジニアと違うってことが分かったんです。その時のクレジットが、プロデュース&エンジニアbyダニエルラノワ(Daniel Lanois)って書いてありました。それを見たときに、エンジニアの人が違うと音が違うんだ!って、その時初めて思いました。エンジニアって凄い力があるんだなって思ったんです。だいぶ時が経って、あちらにいらっしゃる吉田保さんに、日本のエンジニアっていうのは、音決めをする時の日本の音楽業界の中での地位はどんなもんなんですか?と質問したときに、余り無いって言われたんです。というか決める人が、はっきりしてないみたいな事を言われたんです。別に僕は欧米の音楽が全必ずしも良いとは思ってないんですけど、システムとしてすごく良いなと思っているのは、エンジニアの地位が凄く日本より高いっていうのはすごい実感していて、是非、日本のエンジニアの方々にもそうなって頂きたいと思っています。世代を超え、今回の題目にもなってます未来って言う部分、もちろん過去もあり経験もそうです。歴史があって今のエンジニアの皆さんの培ってきたノウハウがあります。そこを上手く皆さんの未来と融合して頂いて、次の世代に繋げていってほしい、凄く良い音楽を作ってほしいなって思っています。実は、参加者の方からすごく難しい質問があったんです。今作られてる音楽に対してすごく疑問があるっていう方がいらっしゃいました。僕も若干似たような印象を持っていて、売れる為っていうのか、それとも100年後にも聴かれる音楽なのかっていうのがすごく難しい選択だと思います。でもやっぱり良い音楽を皆さんに作ってもらいたい。良い音楽は、もちろん千差万別で僕はいいと思ってますけど、できるだけ妥協しないでほしいっていう事を、すごくエンジニアの人にお願いしたいと思っています。
【最後に】
吉田: 今日はもうそろそろ時間なんですけども、歌に関してやったけども、今後ミキサー協会としては、楽器の録り方とか、生楽器の録り方とか、色々。
Goh: やってくれたらいいんじゃないですか。是非。
吉田: 次回また考えて、ロックオンさんと協力の下にここを使って、なんとか皆さんにお教えできれば。バンドの友達とかいるかもしれないから、バンドの音をうまく録れれば、もっと、インデペンデントのレーベルで売れば、あ、これも良い音してるじゃんみたいな、逆にそういう文化が出来るかもしれない。そういう意味で次回3回4回5回と10回位まで行けば良いかなあと思って、考えてる次第なんですけども。今日は、ちょっと時間オーバーしちゃいましたが、第1回目としてはすごく成功したんじゃないかなと。皆さんも多分興味深く聞けたと思います。
梅津: あの、これだけのエンジニアの方にお集まり頂いたんですけども、たぶん使ってる機械って余り変わってないような気がします。与えられてる機械も同じような気がします。でも、みんな個性が有って、自分の考えの中で1つの音を、創ってる。これ、何かなって思うと、その人の考えだったり、音をどう思ってるかという事の突き詰め方だったり、なんかそういう事で変わってくると思います。多分、皆さんこれから色んな人生を歩まれると思うんですけども、その糧となるのは、自分の今までの生きてきた感動した事が糧になるような気がします。だから、これから、音楽を聴いていく上でも、やっぱり感動ということをテーマに物事を考えていったら、良いのかななんて、皆さんの話を伺って思いました。本日は皆さん、本当にありがとうございました。
今回、講師を努めてくださいましたGohさん、森元さん、吉田さん。セミナーにご参加頂いた受講者の皆様、場所、機材をご提供下さったロックオンプロ様、スタッフの方々。本当に有難うございました。ご協力頂いた全ての方に感謝致します。
日本ミキサー協会
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