SPECIAL

OUTLINE 概要

引き続き、ファイルネームについて。
マスタリング・エンジニアに渡す時のネームの付け方など。
2019年7月23日収録。

SECTION.1 制作者全員がわかるネーム

下川 晴彦

前にとんでもないアシスタントがいて、収録時にキュー・シート見たら、1から全部シンセって書いてあった。確かにシンセサイザーを使ったのは間違いないけれど、どの音がどのトラックに入っているか、誰もわからんだろって(笑)。ドラムを全部ドラムって書いているようなものだね。

川澄 伸一

ドラムって、シンセと生演奏の差を聞き分けられないときがありますよね。その時、生ドラムはリアル・スネアとかリアル・キックと書きます。「音を聴けばわかる」と言うけれど、最近のはわからない事がある。でも、クライアントは、生ドラムとシンセ・ドラムを使い分けたいから、私達にお願いするわけです。だから、きちんとトラック・ネームで分けています。

下川 晴彦

僕はシンセの方を、シン・キックとかシン・スネアかもしれない。生はそのまま。

北川 照明

基本は生という考えだね。

山口 照雄

私はトラックの色を変えています。シンセものは、ちょっと青にしてやろうとかね。これは生演奏じゃないと、自分で分かればいいと思っている。マスタリングに渡すまで、自分が分かればいいからトラック・ネームは書き換えないね。  私が仕事をする時、ネームの記入に対して1つだけ決めている事があるんです。それはファイナル・ミックスの入ったセッション・フォルダのネーム。どのスタジオでも、トラック・ダウンを終えたら、アシスタントがセッション・フォルダにアルファベットで「Final Mix」と書いてくれます。これをマスタリング・エンジニアに渡します。  エディット/ミキシング時のネームの付け方は、アシスタントやサウンド・エンジニアによってみんな違うんですよ。それを「こう書いて欲しい」とアシスタントに指示したらアシスタントがこんがらがるので、「ネームの書き方については、あなたに任せますよ」と伝えます。

北川 照明

いま山口さんから、マスタリング・エンジニアにファイナル・ミックスを渡す話が出ましたが、私は「for mastering」というフォルダに入れて渡します。書き方は人によって違いますが、いずれにせよ、みなさんマスタリング・エンジニアがなるべくわかりやすい様にと思ってやっています。  ただし、みなさんも経験があると思いますが、いったんファイナルとして渡した後でやり直しが起きた時です。そうなると複数のファイナル・ミックスができてしまい、その数が増えてくると、最終的に手がかりになるのは日付しかなかったりすることも(笑)

千阪 邦彦

北川さんは、トラック・ダウン後の修正を入れたフォルダは「for mastering 1」や「for mastering 2」と作っていくのですか?

北川 照明

そうですね。自分が作業している所は、自分なりの方法でフォルダやファイルのネームを書いていきますが、外のスタジオに行ったら山口さんと同じで、そのスタジオで決まったルールに沿って書いたものをもらってきます。だから、正直に言えばレコーディングやエディット/ミキシング/トラック・ダウンのフォルダやファイルのネームは、自分でする時以外は、わかっても仕方がないというところもある。さすがに、どれがファイナルかという確認は絶対にしますが、スタジオでのミックスではアシスタントのやりやすい表記でしてもらってかまわない。

下川 晴彦

僕はミキシング・エンジニアとして参加した場合、レコーディングしたセッション・フォルダをもらったら、真っ先にセッション・ファイルのタイトルに日付を書きます。それから仕事をする度に日付を更新して行きます。ラフミックスを作ったら、そのファイルについても同じ日付を入れる。そして、その日の仕事を終えたら「オールド・セッション」というフォルダを作っておいて、そこに突っ込んじゃう。今日の日付のセッション・ファイルが常に一番新しい、というルールにしています。  トラック・ネームについては、場合にもよるけれど、基本はレコーディング・スタジオのアシスタントが書いてくれたままを使っていますね。そして、ミュージシャンやディレクターなど全員のOKが取れたら、セッション・フォルダに「ファイナル・ミックス」と書いてマスタリングに渡します。  北川さんも言うように、もしも戻るようなら、みんなのOKが出たものを「ファイナル・ミックス」に上書きします。だから、常にファイナル・ミックスは1個しかない。そうしておけば、誰が見てもわかるだろうと。

山口 照雄

私もセッション・フォルダのネームに日付を入れています。そして、下川さん同様トラック・ダウンしたファイナル・ミックスは1個だけ。マスタリングに渡すときのネームは「ファイナル・ミックス」です。もしも、リテイクがあった時は「ファイナル・ミックス・リテイク」とでも書いておけばかまわないと。

千阪 邦彦

マスタリングにお渡しするのは、ファイナル・ミックスだけという認識でよろしいですか?

川澄 伸一

ファイナル・ミックスだけお渡しします。

千阪 邦彦

というと、「ファイナル・ミックス」とか「for Mastering」というフォルダには、セッション・ファイルは入れないという事ですか?

川澄 伸一

基本的には入れないです。入れないですが……「for Mastering」の横にあるかもしれない。

千阪 邦彦

マスタリング・エンジニアに渡す場合、セッション・フォルダごとお渡しするんですか?

川澄 伸一

結局、トラック・ダウンしてマスタリングに渡すファイナル・ミックスに関しては、受け取る側がわかりやすいように多少の違いはあれど、表記は決まっているということですね。